2023年5月28日日曜日

文フリ東京36感想

 今年も今年とて花粉症の薬をいつやめるか探っています。藤枝です。
 今回は5/21(日)に開催された文学フリマ東京36の感想です。

 会場に着くまでの流れで前回と違ったこととして、駅の売店でお昼ご飯を買いました。ふかふかホットドッグみたいなやつです。家から持って行ったカ●リーメイトも食べました。腹が減っては頒布はできぬ。



●ブースのこと
 こんな感じでした。左手前のスカスカスペースが趣深いです。


 ブースに関して、前回を踏まえて変更した点が3つあります。

①大きいイーゼルに設置したボード
 前回はイーゼルに本を直置きした結果、とりづらい戻しづらいという有様で、なんとかすることリストの筆頭にあがっていました。ボードのおかげでめちゃくちゃ安定感が出ました。というか前回がなさすぎました。すみませんでした。

②無配を樽に立てるスタイル
 これまで無配は透明なスタンドに立てていたのですが、無配が薄すぎてとりづらいという致命的な難点がありました。今回は頒布物が増えてスタンドを本にあてることになり、無配の置き場に困っていたところ、立ててすぽすぽ引っこ抜く形式を思いついたのでした。ちょっとよくなった気がしています。欲を言えばもう少し直径があるとベターかもしれません。

③折りたたみラックのクロス
 ブタ柄になりました!!!(お祭り)
 増える頒布物に追いやられるように数を減らしていたブースのブタが、ここに来て一挙に数を増やしました。やったね。ちなみにクロスで隠れている部分には搬入した本を置いています。

 あと設営してから気になったんですが、見本誌のカバーに貼ってるマスキングテープの色がなかなか濃いので、書いてある「SAMPLE」の文字が読みづらいですね。
 もう一つ気になったんですが、「新刊」の表示がやる気なさすぎて面白いですね。次はブタ型のPOPでもつくろうと思ってます。



●頒布や本のこと
 結果から申しますと、弊サークル史上最多の頒布数となりました。ありがとうございました!

 正直なところ、今回の新刊『キューのエレジー』は暗いしファンタジーではないしで、読者層が今までとは違うと思っていました。なので、持ち込み分僅少ツイートをすることになるとは予想もしていませんでした。今までしたことがなかったのでびっくりです。今回はなぜか学生時代の知り合いがかつてなく多く来場していて、「新刊買うよ!」みたいに手に取ってくれたのも大きいです。そして嬉しいです。

 ということで今回の夕暮れダービーの結果は、『キューのエレジー』がぶっちぎりのトップ、次いで『春の夜のステラビナリア』と『歪樹のスフェン』が同着、そして最後が『スピラーレ』となりました。前回は新刊『スフェン』と同数旅立った『スピラーレ』が今回はまったりペース、逆に前回に鑑みて搬入数を絞った『春スビ』が好調でした。どの本がどれだけ売れるか数が読めないなあとも思ったのですが、もしかしたら新刊のジャンルに左右されるのかもしれないですね。



●今後のこと
 秋の文フリ東京については一般参加の予定です。来年あたり東京以外にも出店してみたいなあとか、開催時期を見るにあそこなら行けるかなあとか、考えるだけ考えたりもしています。考えることがタダってすごくないですか?(?)

 次回の出店は、11/3〜4にpictSQUAREにて開催のオンライン即売会「紙本祭5」です。無配にも書いたとおり、1年に複数回出店するのはかなり珍しい(2度目)です。そのうえ初のオンラインイベントなのでわくわくどきどきしています。

 新刊『キューのエレジー』と既刊全種はBOOTHで販売中です。次のイベントまで待てないという方はチェックしてみてください。

 最後に、ブースに来てくださった方々、運営スタッフ・ボランティアの方々、ありがとうございました。それでは!

2023年5月3日水曜日

文フリ東京36お知らせ

 このブログの1年はイベントの告知から始まります。
 あけましておめでとうございます。藤枝です。

 弊サークル「夕暮れガーネット」は5/21(日) 東京流通センターにて開催の文学フリマ東京36に出店いたします。

 ブース番号は【J-29】です。流通センター駅から見て左側、第一展示場だそうですよ。

 出店は昨年5月の第三十四回文フリ東京以来となります。年に1度は何かしらに出られるといいなあと思いつつ、体力が低下しているので、体力をつけるための体力をつけるための(略)をつける必要を痛感する日々です。

 さて、まずはおしながき。
 

 今回も新刊が出ます! すでに納品済みなので搬入を忘れなければばっちりです。

 以下、個々の頒布品を紹介します。webカタログにも載っているのでご覧ください。



①新刊『キューのエレジー』


文庫判 136ページ 500円
自称SF(舞台は現代です)
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

〈あらすじ〉
恒樹はある日、異星人の旅行者をホストとして迎えることになる。九洞と名乗るその“ひと”は三年前に消えた後輩と同じ姿だった。暗く垂れ込める夏の物語。

手洗いうがいの後に見てみれば、九洞は博物館の展示室に入った時のように、足をゆっくりと動かして八畳間を観察していた。背の低い横長の棚、くしゃくしゃのタオルケットを載せた窓際のベッド、開きっぱなしの押し入れ、あらゆるものに熱心な眼差しが注がれた。後ろに回した手に持つ地球滞在マニュアルが、魚の尾びれのように揺れている。恒樹はグラス二つに麦茶を注いで机に運んだ。それから押し入れの座布団を引っぱり出した拍子に、金魚もいつか宇宙に行ったことを思い出した。

 昨年7月の投稿企画「文披31題」に参加させていただいたお話です。弊サークルではこれまでファンタジー・ファンタジー含む短編集・ファンタジーと発行してきましたが、今回は魔法も竜も登場しません。スマホやモップやバーベキューが存在するゴリゴリの現代が舞台です。

 異色なのはお話のテイスト然りでして、あらすじにもあるとおり暗いです。弊サークル史上最暗です。暗黒とか闇とかではなく、ぼんやりどんよりズーンみたいな感じです。

 印刷はおたクラブさんに依頼しました。去年しおりでお世話になった印刷所さんです。9営業日コースで申し込んだら入稿の4日後に納品されてめちゃくちゃびっくりしました。

 表紙のデザインや紙のチョイスではかつてなく色々考えました。色々すぎるので箇条書きにしてみます。

 ・きらきらした紙を使いつつ、ベタで印刷してきらきらを抑えて紫外線を孕んだ夏の雲っぽくしたい
 ・遊び紙にトレーシングペーパーを使ってさらにどんより感アップ
 ・フォントは非明朝体が似合うはず(結果マメロンにしました。淡白でかわいい)
 
 少なかった。表紙にパールスノープラチナ205kg、遊び紙にクラシコトレーシングFS、本文には書籍用紙70kgを選びました。思惑どおりの感じに仕上がって満足しています。おたクラブさん、ありがとうございました!!!

 あと、今回は余白の調整にも力を入れました。……が、長い上に告知と関係ないので別の記事として載せることにします。ちなみにルビのふり方は岩波文庫を参考にしてみました。



②既刊『歪樹のスフェン』


文庫判 110ページ 500円
魔法をめぐる優しめファンタジー
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

 細かく書きつけた紙片をスフェンに渡しかけ、エリアが小さく声をこぼした。紙片に息を一つ吹きかけ、「失礼」と言って改めてよこしてくる。スフェンが受け取ると術が動きだした。どこまでが一文字かも分からぬ羅列が黒い丸に変じた後、細い糸にほどけて見慣れた文字をつくる。書きつけは〈のぞき〉に必要な品の一覧で、スフェンが授業で使ったことのあるものもあれば、植物か動物かさえ分からないものもあった。 

 魔法が歪んでしまった少年と“潤うものに愛される”魔法使いの、穏やかで温かなお話です。『キュー』がどんより曇りっぱなしなら、こっちは雨のち晴れの光属性です。



③既刊『スピラーレ』



文庫判 70ページ 300円
滅び・風・旅の連作ファンタジー

 静かで澄んだ掌編5つを収録しています。違う時代の違う場所の人々が西洋風の世界をうろうろします。テーマの「滅び」がちょっと不穏ですね。

〈収録作品〉
 山間の町にやって来たヨアン。深い緑の瞳をもつリッケと出会うが……

 疫病に村を襲われ家族を失ったルーカは、“魔法使い”と呼ばれる隠者の噂を聞いた。

「晩夏の手向け」
 剣士のゾントと楽師のビノエ、兄弟が出会った過去と幻。

「星影の標」
 古に紡がれた聖なる言葉を探し、ミシュカは小さな旅に出る。

「春へゆく風」
 薬を売って旅をするメアリアと先生はサンゲルジュという町に着く。



④既刊『春の夜のステラビナリア』



文庫判 86ページ 300円
ジャンル混ぜこぜ短編集

 寄稿させていただいたり投稿サイトや無配に載せたりした8編を集めました。ジャンル混ぜこぜと言いながらファンタジーが多めです。

〈収録作品〉
 現代。冬、先輩と私の届かない物語

「ブラチスラヴァで三時間」
 旅行記。スロヴァキアに行った時の話

 SF百合。戦うヒーローとカフェ店主の話

「遠き歌声」
 ファンタジー。風と喪失

 ファンタジー。“青百合がいたらそっと逃げるんだよ”

「カシー・ルルーとの燦たる午後」
 ファンタジー。きみは鏡の中で宝石を嚥下する

 ファンタジー。竜・靴・怒り

「ロスト」
 現代。美術館・鍵・息苦しさ



⑤無料配布『ひづめだより vol.5』

A5 4ページ 無料!

 見開き短編とサークル情報の載ったペーパーです。家のプリンタでコピー用紙に印刷した親しみやすいやつです。短編は今から書きます。「本は買わないけど気になるぞ」という方も遠慮なくお持ち帰りください。



 そして今回は、拙作が夕暮れガーネット以外のブースにお邪魔しています。

 みのまわりさん(第二展示場Fホール【う-60】)

 『みのまわり vol.4 燈』…ヴィクトリア朝風短編「燐の夜」

 『みのまわり vol.5 鏡』…大正時代風短編「破鏡譚」、1ページ小説2編

 以上4編を寄稿させていただきました!

 さらに、「めがね」をモチーフにした無料のペーパーにも短編で参加しております。今回が初頒布の品ですよ。

 みのまわりさんは装丁も作品もブースもとってもおしゃれなので、ぜひお立ち寄りください!



 ということで、5/21 文学フリマ東京36でお会いできるのを楽しみにしております! twitterでも告知をしていくのでよろしくお願いいたします〜。