2023年8月26日土曜日

文学フリマ大阪11お知らせ

 暑いですね。藤枝です。暑いですね。

 今回は文学フリマ大阪11に出店するぞというお話なのですが、訂正とお詫びから入らせていただきます。

 先日の文フリ東京36で配布した『ひづめだより vol.5』、および同イベントの感想記事に「次のイベント参加は11月の『紙本祭5』でーす」と書いたんですが、書いた後に文フリ大阪参加申込→参加が決定したのでまったくの嘘になりました。すみません! 『ひづめだより』だけ見てくださってる方がいたらもう申し訳なさの極みです。
 ※「紙本祭5」について(8月19日現在)
 オンライン即売会「紙本祭5」は、プラットフォームを「PictSQUARE」から「ピクリエ」に、日付を11/3〜4から11/17〜20に変更して開催となりました。弊サークルはピクリエ版のサークル参加申込はまだしていないので、きちんと決まりしだい改めてお知らせします。

 ということで……

 弊サークルこと夕暮れガーネットは、9/10(日)開催の文学フリマ大阪11@OMMビルに出店します! ブースは【F-11】、つまりファンタジーわんわん。

 東京以外のイベントに出るのは初めてです。本やブタを連れて新幹線に乗る。すなわち本もブタも200km/h以上で移動する。エクストリーム点P(pig)ですね。

 おしながきはこちら。ブース番号を目立たせてみたほかは、前回の文フリ東京36とほぼ同じです。頒布内容も無配以外は変更なしです。


 以下、個々の頒布物の紹介です。webカタログもチェックチェックです。

①『キューのエレジー』


文庫判 136ページ 500円
自称SF(舞台は現代)
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

どんより度 ★★★★★
初心者向け度 

〈あらすじ〉
 恒樹はある日、異星人の旅行者をホストとして迎えることになる。九洞と名乗るその“ひと”は三年前に消えた後輩と同じ姿だった。暗く垂れ込める夏の物語。

「わたしは天の川銀河ではない、他銀河にある星から来ました」

 タギンガ、と恒樹は口に出した。

「小さくて、これといった特徴もないところです。それでも様々な規模で意見がぶつかります。一つの銀河に何千億もの恒星があり、その何割かに生命が暮らし、いくつもの共同体や宗教があると思えば、多少の意見の違いには鈍感になってきます――よくも悪くもですが。わたしの星でも、星を開くと決まった時はかなり混乱がありましたが、今はなんとかやっています。なので地球もきっと大丈夫だと思います」

「そうだといいですね。本当に」


 頒布物(無配除く)の中では最新作で、昨年7〜9月に書いたお話です。弊サークルとしては異色の非ファンタジーで、かつ弊サークル史上最暗です。暗黒とか闇とかではなく、ぼんやりどんよりズーンみたいな感じです。こういうテイストのため、「夕暮れガーネット初心者だけどどれから読めばいい?」という方には別の本をおすすめいたします。たとえば次にあげるやつとか……



②『歪樹のスフェン』


文庫判 110ページ 500円
魔法をめぐる優しめファンタジー
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

読後感のよさ ★★★★☆
魔法成分の多さ ★★★★★

〈あらすじ〉

 スフェンの魔力はある出来事を境に歪んでしまった。失意に倒れた彼は旅の魔法使いエリアのもとに身を寄せる。二人が過ごした秋の温かな物語。


 細かく書きつけた紙片をスフェンに渡しかけ、エリアが小さく声をこぼした。紙片に息を一つ吹きかけ、「失礼」と言って改めてよこしてくる。スフェンが受け取ると術が動きだした。どこまでが一文字かも分からぬ羅列が黒い丸に変じた後、細い糸にほどけて見慣れた文字をつくる。書きつけは〈のぞき〉に必要な品の一覧で、スフェンが授業で使ったことのあるものもあれば、植物か動物かさえ分からないものもあった。 

 『キューのエレジー』が曇りなら、こっちは雨のち晴れの光属性です。怖いとかグロいとかもほぼない(怪我はする)ので比較的安心して読めます。優等生タイプです。



③『スピラーレ』


文庫判 70ページ 300円
滅び・風・旅の連作ファンタジー

静けさ ★★★★☆
魔法成分の多さ ★★☆

 穏やかで澄んだ掌編5つを収録しています。違う時代の違う場所の人々が西洋風の世界をうろうろします。テーマの「滅び」がちょっと不穏ですね。『歪樹のスフェン』よりはどことなく影があります。

〈収録作品〉
青文字のタイトルはカクヨムにて全編試し読みできます。

 山間の町にやって来たヨアン。深い緑の瞳をもつリッケと出会うが……

 疫病に村を襲われ家族を失ったルーカは、“魔法使い”と呼ばれる隠者の噂を聞いた。

「晩夏の手向け」
 剣士のゾントと楽師のビノエ、兄弟が出会った過去と幻。

「星影の標」
 古に紡がれた聖なる言葉を探し、ミシュカは小さな旅に出る。

「春へゆく風」
 薬を売って旅をするメアリアと先生はサンゲルジュという町に着く。



④『春の夜のステラビナリア』


文庫判 86ページ 300円
ジャンル混ぜこぜ短編集

 寄稿させていただいたり投稿サイトや無配に載せたりしたものを集めました。ジャンル混ぜこぜと言いながらファンタジーが多めです。
 そして発行から4年が過ぎた今になって気づいたんですが、「よかった〜!」みたいな気持ちになれるハッピーなお話がほぼありません。ダークとも言い切れないものの、なんかこうテンションが穏やかです。そういうのを選んで収録したわけではないのですが、なんで? そういうのばっかり書いてるから? そうか。

〈収録作品〉
青文字のタイトルはカクヨムにて全編試し読みできます。

「ステラと終章」
 現代/冬、先輩と私の届かない物語

「ブラチスラヴァで三時間」
 旅行記
スロヴァキアに行った時の話

「デュアル・ブルー」
 SF百合
戦うヒーローとカフェ店主の話

「遠き歌声」
 ファンタジー
風と喪失

「魔法使いの話」
 ファンタジー
“青百合がいたらそっと逃げるんだよ”

「カシー・ルルーとの燦たる午後」
 ファンタジー
きみは鏡の中で宝石を嚥下する

「ウヴァークの竜の話」
 ファンタジー
竜・靴・怒り

「ロスト」
 現代美術館・鍵・息苦しさ



⑤無料配布『ひづめだより vol.6』

A5 4ページ 無料!

 見開き短編とサークル情報の載ったペーパーです。今回も家のプリンタでコピー用紙に印刷します。短編は今書いてます。「本は買わないけど気になるぞ」という方も遠慮なくお持ち帰りください。



 宿も新幹線もばっちり予約したので、あとは諸々の災厄が起きないのを祈るばかりです。X(twitter)くるっぷで随時お知らせしていく予定です。待ってろ大阪! 逃げるな大阪!

2023年8月17日木曜日

Word苦闘録 余白が設定値と実際とで違う編

こんにちは。藤枝です。文フリ大阪11が迫ってきましたね。

今回は趣向を変えて、今年5月発行の『キューのエレジー』制作の際に、Wordで課題にぶち当たり解決するまでの記録を書きました。解決策はどう考えても力技ですし、オンリーでもベストでもないと思うので、参考になさる場合は自己責任でお願いします。Wordに詳しい方からすれば「こいつ柴犬とマンチカンの見分けがついてないぞ」みたいな話かもしれませんし、備忘なのに後から読み返して理解できる気がしていません。一体誰向けなのか。


●問題発覚〜原因判明

今回ぶつかった問題は「設定値と出力(拡大縮小なし)とで余白が違う」です。

発覚時点での設定は以下のとおり。

 上17mm/下15mm/内側(小口)13mm/外側(のど)18mm

 複数ページ:見開きページ

※ふつうは内側がのどで外側が小口ですが、Wordの設定上ではひっくり返ってるものらしく、内側が小口側、外側がのど側です。

冊子の校正が大詰めを迎えた頃、「今回はページ数が増えたからのど側の余白を前より広くしたんだよね〜」と思いながら、実際に出力して余白を測ってみました。さらに、実は前回つくった冊子を見ている時に「なんか奇数ページと偶数ページとでのど側の余白が違うような…?」と思ってはいたんです。その時点で手を打て。

測定結果は…

 奇数ページ:上17mm/下15mm/内側(小口)18mm外側(のど)18mm

 →内側が設定より5mm広い

 偶数ページ:上17mm/下15mm/内側(小口)13mm/外側(のど)23mm

 →外側が設定より5mm広い

?????

紙をためつすがめつするプ●さん状態です。小口側まで違いました。なぜ設定値と違うのか。なぜ奇数ページと偶数ページでバラバラなのか。どこから来たんだこの5mmは。もっと言うと最初は「どうして奇数ページの内側と外側の余白が同じなんだ」みたいな引っかかり方をしてましたが、それは偶然の一致だったようです。

まずはひたすらネットに頼りました。「Word 余白 おかしい」「Word 余白 ずれ 原因」…しかしドンピシャの答えはなく、ネットの海でぷかぷか浮きながら途方に暮れます。ちなみに自分はカナヅチなので浮かんでいられる自信がありません。

そしてWordの画面をながめている時に気づきました。なんか最後の行と余白の間にさらに隙間がある。



画像は奇数ページですが、偶数ページも同じでした。トンボ(四隅に散った怒りマークみたいなやつ)が余白と版面を示してるんですが、最初の行は余白にぴったりくっついてる一方、最後の行「エントランスは〜」と余白の間にはなぜか隙間がありますよね。なぜか。再びのシンキングタイム(sinkではなくthinkです)の後に思い当たるものがありました。もしかして行間を詰めたから? 試しに行間を広げると、まあ当たり前ながら最後の行と余白との距離は縮まりました。これが原因だ! ここをなんとかすればなんとかなる。


●Wordゴリラ

ところが、行間を広げると間延びしてかっこよろしくない気がします。ページ数も増えるしページの変わり目もずれて、芋づる式に調整ポイントが発生します。校正が大詰めの段階で大々的に何かを変更するのはあまりにリスキーです。

変更するにしたって、単純に内側/外側を何mm調整すればOKという話ではありません。奇数ページに合わせれば偶数ページがずれます。奇数と偶数で別々に設定する方法があるかもしれませんが、Wordの画面をぱっと見た限りはなさそうだし、VBA的な複雑怪奇なやつに行き着く気がします。

唸っているところに力技大好きゴリラがやって来ました。校了になったデータを奇数用と偶数用で2個用意→それぞれ余白を調整→PDF化→偶数用から奇数ページを削除(とその逆)→順番どおりに縫合すればいいのでは? 脳内でピ●太郎の「PP●P」が流れだしました。複雑かつ未知のリスクよりもシンプルなリスク。これでいきます。

調整と出力を何度か繰り返し、次の設定に落ち着きました。

 奇数ページ:上17mm/下15mm/左11mm/右18mm

 偶数ページ:上17mm/下15mm/左16mm/右13mm

 複数ページ:標準

これで出力して測ってみたところ、晴れて目標の小口13mmのど18mmになったのです。やったね。ちなみに複数ページを「見開きページ」から「標準」に変更したため、余白の位置の呼び方が内側外側から左右に変わっています。

この作戦で起きうるミスは、縫合時にページ順を間違えることと、奇数用と偶数用とでページの変わり目がずれることでした。前者は便利なツールがあるかもしれませんが、今回は手作業だったので、ひたすら目視で確認しました。後者も何度も目で見てチェックしました。奇数ページと偶数ページとで内側外側の余白の合計が同じなら、ページの変わり目も同じはずですよね。イメージとしては版面が左右にぶれる感じだと思います。急に自信がなくなってきた。ほかに、気づかないまま不発に終わった危険もあったかもしれませんね。運が良かったです。

ページがノンブルどおりに並んでいるか、ページの変わり目できちんと文章がつながっているか、何度も確認してから作業を終えました。白状すると確認中に文章の修正もしたのでPDFを作成しなおしました。

そして印刷所さんから届いた冊子を確認したところ、泥臭いやり方とはいえやってよかったと思える仕上がりでした。とてもいい。前回の冊子より格段にいい。やってよかった。


いかがでしたか?

やっぱりどう見ても力技だし、ページ数(←のどの余白の広さに直結する)や行数行間等々が変わると設定値を見直す必要があるし、ページ数が増えると絶対にしんどくなるやり方です。しかし今回のところはAll's Well That Ends Well ウホね。ゴリラにも失礼です。

次回はもっとクレバーにやりたいです。実を言うとInDesignもとっても興味があるんですが、懐があれでどうなので、またWordのお世話になるんだろうなと思ってます。もInDesign、一度はさわってみたい。一度はあれで本をつくってみたい。

こんなやり方で乗り切ったこともあったなあとか、何言ってんだこいつとか、なんかこう笑える日が来ますように。