2025年11月9日日曜日

文学フリマ東京41に出店します

こんにちは。藤枝です。
もう少しブログを更新したいなあと思いながら、イベントの時か年末にしか更新しないことがほとんどです。

さっそく本題ですが、
夕暮れガーネットは11/23(日)東京ビッグサイトにて開催の文学フリマ東京41に出店します!
ブースは南3・4ホールにある【い-61】となります。もう片方の南1・2ホールよりも上の方の階みたいです。
弊サークルのイベント参加は、去年12月の文フリ東京39以来になります。


今回のおしながきはこちら。頒布物が過去最多となりました。
そしてwebカタログはこちら。すでに「気になる!」を押していただいており嬉しいです。
どの本も無料配布も取り置きを随時受付中です。ご希望の方はX(旧Twitter)のDM、メールなどでご連絡ください。

以下、個々の頒布物の紹介です。


①新刊『短編集Ⅱ プロムナード』


文庫判 82ページ 300円
再録短編集第2弾

2年半ぶりに新刊が登場です!(どんどんぱふぱふ)
合同サークル誌で書かせていただいたお話や、投稿サイトに載せたお話など、全8編を収録しました。
ジャンルの内訳は西洋風ファンタジー6・現代ファンタジー1・SF1です。
軽く目を伏せるような、少し寂しいお話が中心です。また、あちこちにちょっとずつ美術要素があります。
2年ぐらい前から作ろうと思っていたものがついに発行となりました。長かった。

〈収録作品〉
●印がついた作品は、タイトルのリンクから全文試し読みできます。

燐の夜
西洋風ファンタジー/燈・冬・別離

秘花の試み●
西洋風ファンタジー/春、旅立ちと禁忌

天秤通りの霊験
西洋風ファンタジー/画家が見た一陣の奇蹟

ムーンピアへようこそ●
SF/命なき、しじまを愛す

善き精霊ボツェムギイ●
西洋風ファンタジー/ボザンカ村の行進は有名で…

勇者の肖像
西洋風ファンタジー/とどめおくもの

現代ファンタジー/2021年の孤独と暴力

つまびき
西洋風ファンタジー/こんなところに森があっただろうか

 男は約束もなしに訪ねてきた。男と呼ぶには若く、村で成人の儀式を済ませたばかりのように見えた。多少名の通った先生方なら門前払いするだろうが、おれは男を迎え入れることにした。急ぎ描かねばならないものもなければ、子どもたちに教えに行く予定もなかったからだ。
(「勇者の肖像」)

書き下ろしはないのですが、あちこちに載ってるものをまとめて読めるっていいよねという気持ちと、ここ何年かの記録にもなるしねという気持ちで作りました。(掲載済みだけど『プロムナード』には載ってない、というお話もあります。)
短いのをたくさん読みたいぞという方は、再録短編集第1弾『春の夜のステラビナリア』もあわせてチェックしてみてください↓


『短編集Ⅰ 春の夜のステラビナリア』


文庫判 86ページ 300円
再録短編集第1弾

こちらも、寄稿させていただいたり投稿サイトや無配に載せたりしたものを集めた短編集です。
全8編のジャンル内訳は、ファンタジー4・現代2・SF1・旅行記1です。
雰囲気としては切ない感じのお話が多いです。すっきりハッピーなやつはほとんどありません。

〈収録作品〉
●印がついた作品は、タイトルのリンクから全文試し読みできます。

現代/冬、先輩と私の届かない物語

ブラチスラヴァで三時間
旅行記/スロヴァキアに行った時の話

SF百合/戦うヒーローとカフェ店主の話

遠き歌声
西洋風ファンタジー/風と喪失

ファンタジー/“青百合がいたらそっと逃げるんだよ”

カシー・ルルーとの燦たる午後
西洋風ファンタジー/きみは鏡の中で宝石を嚥下する

西洋風ファンタジー/竜・靴・怒り

ロスト
現代/美術館・鍵・息苦しさ


③『スピラーレ』


文庫判 70ページ 300円
連作西洋風ファンタジー

穏やかで澄んだ、うっすらと翳りのある5編を収録。違う時代の違う場所の人々がうろうろします。

※終売予定と取り置きについて※
在庫が残り10部未満となり、増刷せずに終売とする予定です。
今回、会場には全ては持ち込まず、残りは次のイベントや通販にとっておく予定です。取り置きも随時受付中なので、ご希望の方はX(旧Twitter)のDM、メールなどでご連絡ください。
万が一、在庫と同じ数の取り置き依頼を頂いた場合は、その時点で終売となります。状況はXやこの記事でお知らせ予定です!

〈収録作品〉
●印がついた作品は、タイトルのリンクから全文試し読みできます。

山間の町にやって来たヨアン。深い緑の瞳をもつリッケと出会うが……

疫病に村を襲われ家族を失ったルーカは、“魔法使い”と呼ばれる隠者の噂を聞いた。

晩夏の手向け
剣士のゾントと楽師のビノエ、兄弟が出会った過去と幻。

星影の標
古に紡がれた聖なる言葉を探し、ミシュカは小さな旅に出る。

春へゆく風
薬を売って旅をするメアリアと先生はサンゲルジュという町に着く。


④『歪樹のスフェン』


文庫判 110ページ 500円
魔法をめぐる優しめ西洋風ファンタジー
全文試し読みはこちらから

〈あらすじ〉
スフェンの魔力はある出来事を境に歪んでしまった。失意に倒れた彼は旅の魔法使いエリアのもとに身を寄せる。二人が過ごした秋の温かな物語。

 細かく書きつけた紙片をスフェンに渡しかけ、エリアが小さく声をこぼした。紙片に息を一つ吹きかけ、「失礼」と言って改めてよこしてくる。スフェンが受け取ると術が動きだした。どこまでが一文字かも分からぬ羅列が黒い丸に変じた後、細い糸にほどけて見慣れた文字をつくる。書きつけは〈のぞき〉に必要な品の一覧で、スフェンが授業で使ったことのあるものもあれば、植物か動物かさえ分からないものもあった。 

雨のち晴れ、穏やかな気持ちで読み終えられそうなお話です。
ちなみに、表紙にはマーメイドという紙を選びました。スケッチブックのようなざらりとした手触りがgoodです。


⑤『キューのエレジー』


文庫判 136ページ 500円
どんより暗い自称SF(舞台は現代)
全文試し読みはこちらから

〈あらすじ〉
恒樹はある日、異星人の旅行者をホストとして迎えることになる。九洞と名乗るその“ひと”は三年前に消えた後輩と同じ姿だった。暗く垂れ込める夏の物語。

「わたしは天の川銀河ではない、他銀河にある星から来ました」
 タギンガ、と恒樹は口に出した。
「小さくて、これといった特徴もないところです。それでも様々な規模で意見がぶつかります。一つの銀河に何千億もの恒星があり、その何割かに生命が暮らし、いくつもの共同体や宗教があると思えば、多少の意見の違いには鈍感になってきます――よくも悪くもですが。わたしの星でも、星を開くと決まった時はかなり混乱がありましたが、今はなんとかやっています。なので地球もきっと大丈夫だと思います」
「そうだといいですね。本当に」

ファンタジー中心の弊サークルにおいて異色の自称SF。蕎麦屋のカレー的な人気を維持しています。
読後感は全然すっきりしません。
ちなみに、表紙にはパールスノープラチナという紙を選びました。細かなきらきらが入っていてgoodです。


⑥無料配布『ひづめだより vol.9』

A5判 4ページ 無料

見開き短編とサークル情報が載ったペーパーです。
今回も今回とて家のプリンタで印刷予定です。このブログを書いている時点では、第1バージョンを書き終えたところです。
「本は買わないぞ」という方も遠慮なくお持ちください。



今回は11月23日の開催なので、勤労に感謝しながら参加しようと思います。
X(旧Twitter)くるっぷでも告知をおこなう予定なので、ぜひチェックしてください!

2025年1月1日水曜日

短歌をちょっと始めた

おせちを食べまくって体を動かしたいので、文章を書いて脳を動かすことにしました。脳も体の一部です。

最近、短歌に興味があります。
ちょっと前からコンスタントに接する機会があり、自分でもやってみたいと思うようになりました。おととし(2023年)から少しずつつくって、「うたの日」というサイトや「57577」というSNSにたまに投稿しています。
こんな感じです。

  いつだって君を見てるよシリウスもアークトゥルスも天のそばかす(「うたの日」2024年3月11日 お題「見」)

  駅出れば晩夏の月は西空に「夕」の一画目のごとくあり(「57577」2024年12月30日 お題「月」)

  彼岸花の2Pカラーと呼びしかばアガパンサスに引っぱたかれき(「57577」2024年12月29日)

右も左も分かりません。特に分からないのが韻律です。韻でも語呂でもなく韻律。歌の講評で「オ段の音が」みたいな記述を見ますが、そういう感じのことなんでしょうか。他にも、マナーでもなく決まりでもないけど存在するもの、みたいなものがあるんだろうとは思うのですが本当に分かりません。というか決まりも分かりきっていません。短歌に関する本や歌集で少しずつ学んでいる状態です。先日はついに『短歌研究 2024年5・6月号』を読み終えました。たくさんの方の作品が載ってるので買った本です。

そして、創作ビギナーとしての気持ちを新鮮に味わっています。というのも、お話を書きはじめたのは遠い昔なので、当時どんな考えや気持ちをもっていたかはまったく記憶にないんです。それが、短歌をちょろちょろとつくりはじめた時、「そうか、初心者ってこんな感じなんだ! お話ビギナーの時も1%ぐらいは同じ気持ちだったかもね」と思ったわけです。具体的にどんな気持ちかは自分の中でもぼんやりしています。

今のところ、お話から短歌にシフトする、ということでは全然ないです。どっちも楽しくやりたいです(握り拳の絵文字)。

2024年12月22日日曜日

手前たちの2024と2025の話

街でサンタさんの帽子をかぶった人がいると思ったら見間違いで人自体いませんでした。1年の振り返りのコーナーです。今年は2024年を振り返ります。よく見たらまだ前方にも2024年があるんですけどね。


【書いたお話】
大正時代風オカルト譚「最期の一葉」

・「みのまわり」Instagram用短編
お題「はがき」「ボール」「絵の具」
合計1,200字

エッセイ「ダイナモ」
文学フリマ東京39にて頒布の『みのまわり vol.6 鞄』に寄稿2,400字

・1ページ小説
お題「トートバッグ」
文学フリマ東京39にて頒布の『みのまわり vol.6 鞄』に寄稿400字

大正時代風ファンタジー「胡蝶と青天」
文学フリマ東京39にて頒布の『みのまわり vol.6 鞄』に寄稿約8,100字

・西洋風ファンタジー「ピナコテークの朝」
文学フリマ東京39用無配『ひづめだより vol.8』に掲載約1,300字


こんな感じです。今年は「みのまわり」率が高い! たくさん書かせていただき、たくさんお世話になりました。ジャンルにしても雰囲気にしても偏らず書いた気がしています。特に、エッセイを書いたのは生まれて初めてかもしれません。Wordデータに「君はエッセイなんだよ」と言い聞かせる気持ちで書きましたが、自信がなかったりなかったりしています。

おととしは企画に参加して3万字以上を1本書き、去年は月に1回コンスタントに300字小説を書きましたが、今年はけっこうのんびりなペースでした。上に載っていないもの(未完成の分など)を合わせても1年で3万字ちょいです。たくさん書くには読む量が足りないなあと思いつつあまり読めませんでした。なので今日(いつ?)は室生犀星を読みました。


【頒布について】
今年は12月1日の文学フリマ東京39に出店しました。(詳しくは感想記事をどうぞ。)
来年は、11月の文学フリマ東京41と、それ以外の何かしらのイベントに出店したいと思っています。5月の文フリ東京40には、タイミングが合えば来場者としてお邪魔する予定です。出店はしませんのでご注意ください。

そして在庫の話が1つ。
ファンタジー連作掌編集『スピラーレ』の在庫が残り10部を切りました。『スピラーレ』は弊会が初めて作成した本です。2016年につくったのでもうすぐ9年が経ちます。増刷の有無については現在検討中です。実はすでに1回増刷しており、作成部数が少なかったわけではないので、もう1度増刷するよりかは次の本をつくろうかなというのが現時点での考えです。
これまでにお買い上げくださった皆さん、ありがとうございました。これからお買い上げくださる皆さん、よろしくお願いいたします。


【来年の予定】
・再録短編集その2をつくる
既刊『春の夜のステラビナリア』と同じポジションの冊子になります。去年も挙げていた予定なので、持ち越したということですね。載せられるお話がたまってきたので、来年こそつくりたいです。

・インプットする
インプットします。長いお話の組み立て方がいまいち分かっていないので、その勉強としても積極的にやりたいです。映画も見たいですね。今年は2本ぐらいしか見てないです。

・短いのを書く
今年よりもちょっと多めに書きたいです。(簡潔)

・長いのも考える
「そろそろまた長いのを書きたいな」という気持ちだけがある段階です。まずは長さに見合った題材や書きたいものを探します。
ちなみにここで言う「長い」は、あまりに幅広いですが3万字〜10万字の想定です。弊会が「長い」と認識しているお話には、頒布中のものだと『歪樹のスフェン』と『キューのエレジー』があります。どちらも本編の字数は3万字台なので、そのくらいは書きたいです。3万字台って、投稿サイトで見かける大賞の基準を見るに、中編(のなかでも短い方)に分類されることが多いみたいです。なので大声で「長いです!」とは言いづらいですが、「弊会の基準では長いです!」とは堂々と言うことにします。

あとですね、今まで長いお話は全文を投稿してから冊子にしているのですが、冊子で初めて全文を公開するスタイルにも挑戦したいなと考えています。(部分的な試し読みはもちろん事前に公開します。)全体が見えないと冊子に手を伸ばしづらいのではという思いもあり、読んでくださる方もこちらもある意味で冒険になりそうですが、宣伝方法など色々試せることはあるなと考えています。


あれやこれや考えていますが、まずは健やかにやっていきたいです。ミは巳年のミ。

2024年12月10日火曜日

文学フリマ東京39感想

シャンシャンシャンシャン(迫り来るクリスマスの音)
こんにちは、藤枝です。
今回は12/1(日)に開催された文学フリマ東京39の感想をぽちぽちと書いていきます。


●開場までのこと
出店する自覚が薄くてぽやぽやとしており、宣伝や準備はいつもと同じかちょっと少なめでした。そして今回は、前日にペンライトを振る用事があったため、その会場近くに泊まって翌日ビッグサイトに直行しました。なので、在庫や什器を入れたスーツケースには、歯ブラシや着替えも紛れていたのでした。同じ週末だと気づかず予定を入れた結果のアクロバティックな行程です。もうしません。しっかりしてください。

早めにビッグサイトに着いたところ、サークル入場開始も前倒しで始まっていたので、ブースにするっと到着できました。いつもよりのんびりなペースで設営したのがこちら。


今回は無配を立てずに直置きしました。これはスーツケースに空きがなくてスタンドがメンバー落ちしたからです。あと、上段2冊の値札を前より高めなところに貼りました。そのほかは変わりなしです。ブタもいます。


●頒布とかのこと
先述のとおり準備でぽやついたものの、ありがたいことに数の上ではいつもと大差なしでした。もしかしていつもどおりの宣伝方法がある程度効果的なんでしょうか(謎の自信)。

今回も蕎麦屋のカレーこと『キューのエレジー』が1番人気でした。強い! 2番手以降は毎回僅差で入れ替わるので面白いです。長い目で見るとまんべんなく旅立っているので嬉しいです。

また、ブースで見本誌を複数手に取ってくださる方がいつもより多かった気がします。ありがたい話です。あと、来てくださった方とのコミュニケーションも多かった気もします。こちらからちょろっと話しかけたこともあれば、相手のかたから話してくださることもありました。お話を伺うに、試し読みコーナーから来てくださったり、表紙に惹かれて足を止めてくださったり、『キューのエレジー』の「暗い」という紹介に惹かれてくださったりと様々でした。参考にさせていただきたいこともたくさんありました。ありがとうございました!

お買い物は最小限になりましたが、気になっていたものをゲットできたのでよかったです。会場をひと回りしてみたかったものの、体力との兼ね合いもあり今回はやめておきました。というか1周するのに何分かかるんだ…? 去年の文フリ大阪で1時間弱かかったが…? あちこち回れないのもブースを留守にしてしまうのももったいないですね。ひとりサークルにとっては難しい話です。


●今後のこと
次の出店は来年11月23日の文学フリマ東京41を予定しています。申込は来年4月からだそうなので、忘れないようにします。ちなみに会場はビッグサイトの南1-4ホールだそうです。ホール数増えてませんか?
また、それ以外にも何かしらの販売イベントに参加したいなとぼんやり思っています。

今回頒布した冊子4種類はBOOTHで通販をおこなっています。次のイベントまで待てない方はのぞいてみてください。

そして、ぼちぼち次の冊子を作ろうかなと考えています。ポジションとしては『春の夜のステラビナリア』に続く再録短編集です。頒布物の種類が増えるのでブースのレイアウトや什器を見直そうかなとか、そろそろテーブルクロスを替えようかなとかとも考えています。

最後になりましたが、ブースに来てくださった皆さん、運営スタッフ・ボランティアの皆さん、ありがとうございました!

2024年11月16日土曜日

文学フリマ東京39に出店します

こんにちは。藤枝です。

今回は12月1日(日)開催の文学フリマ東京39に出店するぞというお話です。

出店は去年11月のオンライン即売会「紙本祭5」への参加が最後、実地?オフライン?のイベントは去年9月の文フリ大阪以来となります。どちらにしても1年以上のブランクがありますね。今年は今まで何をやっていたかというと、何をやっていたんでしょうか。12月になったら1年の振り返り記事で振り返りたいと思います。

ということで改めまして、

弊サークル「夕暮れガーネット」は12月1日(日)東京ビッグサイトにて開催の文学フリマ39に出店いたします!

ブース番号は【け-35】です! ひらがなのブース番号になるのは今回が初めてな気がします。

そして、大事なことなのでもう一度。今回の会場は今年5月と同じ東京ビッグサイト(東京国際展示場)です。流通センターではないのでお互い気をつけましょう。



今回のおしながきです。見事に既刊のみです。そろそろ再録集その2を作りたいなあと思っていましたが、思っているだけでした。

そして今回のwebカタログはこちら。「気になる!」を押していただいており感激しています。ありがとうございます!

そしてそして、ここから個々の頒布物の紹介が始まります。新しいものから順に並んでいます。


①『キューのエレジー』


文庫判 136ページ 500円
自称SF(舞台は現代)
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

〈あらすじ〉
恒樹はある日、異星人の旅行者をホストとして迎えることになる。九洞と名乗るその“ひと”は三年前に消えた後輩と同じ姿だった。暗く垂れ込める夏の物語。

「わたしは天の川銀河ではない、他銀河にある星から来ました」

 タギンガ、と恒樹は口に出した。

「小さくて、これといった特徴もないところです。それでも様々な規模で意見がぶつかります。一つの銀河に何千億もの恒星があり、その何割かに生命が暮らし、いくつもの共同体や宗教があると思えば、多少の意見の違いには鈍感になってきます――よくも悪くもですが。わたしの星でも、星を開くと決まった時はかなり混乱がありましたが、今はなんとかやっています。なので地球もきっと大丈夫だと思います」

「そうだといいですね。本当に」

 頒布物(無配除く)の中では最新作です。ファンタジー中心の弊サークルにあって、発行以来ずっと蕎麦屋のカレー的な人気を放っています。読後感は全然すっきりしていません。

おととしに初版、昨年に少し修正した第2刷をつくった……はずだったのですが、第2刷の入稿の際に間違えて初版のデータを入稿したため、初版にも第2刷にも正誤表をつけました。固有名詞に近い名詞を間違えていたので、どうしても直したかったのです。入稿ミスは去年の藤枝2大ニュースに入りました。入稿だけに。


②『歪樹のスフェン』


文庫判 110ページ 500円
魔法をめぐる優しめファンタジー
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

〈あらすじ〉

スフェンの魔力はある出来事を境に歪んでしまった。失意に倒れた彼は旅の魔法使いエリアのもとに身を寄せる。二人が過ごした秋の温かな物語。


 細かく書きつけた紙片をスフェンに渡しかけ、エリアが小さく声をこぼした。紙片に息を一つ吹きかけ、「失礼」と言って改めてよこしてくる。スフェンが受け取ると術が動きだした。どこまでが一文字かも分からぬ羅列が黒い丸に変じた後、細い糸にほどけて見慣れた文字をつくる。書きつけは〈のぞき〉に必要な品の一覧で、スフェンが授業で使ったことのあるものもあれば、植物か動物かさえ分からないものもあった。 

『キューのエレジー』が夏・曇りなら、こちらは秋・雨のち晴れです。安心してお読みいただけると思います。
ちなみに、表紙にはマーメイドという紙を選びました。スケッチブックのようなざらりとした手触りがgoodです。


③『スピラーレ』


文庫判 70ページ 300円
滅び・風・旅の連作ファンタジー

弊サークルが最初につくった本です。穏やかで澄んだ掌編5つを収録。違う時代の違う場所の人々が西洋風の世界をうろうろします。テーマの「滅び」がちょっと不穏です。『歪樹のスフェン』よりはどことなく影があります。

〈収録作品〉
青文字のタイトルはカクヨムにて全編試し読みできます。

 山間の町にやって来たヨアン。深い緑の瞳をもつリッケと出会うが……

 疫病に村を襲われ家族を失ったルーカは、“魔法使い”と呼ばれる隠者の噂を聞いた。

「晩夏の手向け」
 剣士のゾントと楽師のビノエ、兄弟が出会った過去と幻。

「星影の標」
 古に紡がれた聖なる言葉を探し、ミシュカは小さな旅に出る。

「春へゆく風」
 薬を売って旅をするメアリアと先生はサンゲルジュという町に着く。


④『春の夜のステラビナリア』


文庫判 86ページ 300円
ジャンル混ぜこぜ短編集

寄稿させていただいたり投稿サイトや無配に載せたりしたものを集めました。全8編のジャンル内訳は、ファンタジー4・現代2・SF1・旅行記1です。
雰囲気としては切ない感じのお話が多いです。すっきりハッピーなやつはほとんどないです。

〈収録作品〉
青文字のタイトルはカクヨムにて全編試し読みできます。

「ステラと終章」
 現代/冬、先輩と私の届かない物語

「ブラチスラヴァで三時間」
 旅行記
スロヴァキアに行った時の話

「デュアル・ブルー」
 SF百合
戦うヒーローとカフェ店主の話

「遠き歌声」
 ファンタジー
風と喪失

「魔法使いの話」
 ファンタジー
“青百合がいたらそっと逃げるんだよ”

「カシー・ルルーとの燦たる午後」
 ファンタジー
きみは鏡の中で宝石を嚥下する

「ウヴァークの竜の話」
 ファンタジー
竜・靴・怒り

「ロスト」
 現代美術館・鍵・息苦しさ


⑤無料配布『ひづめだより vol.8

A5 4ページ 無料!

見開き短編とサークル情報の載ったペーパーです。今回も家のプリンタでコピー用紙に印刷します。このブログを書いている時点ではまだ完成していません。「本は買わないけど気になるぞ」という方も遠慮なくお持ち帰りください。



イベント当日まであと2週間ですね。ようやく実感がわいてきました。
ちなみに今回は、もろもろのコンディションにもよりますが、16時ごろに早退するかもしれません。当日に在庫の状況とあわせてXでお知らせいたしますね。
X(Twitter)くるっぷでもちょこちょこ発信していくのでよろしくお願いします。

2023年12月29日金曜日

小官たちの2023と2024の話

 花豆のぽりぽりしたしょっぱいやつがおいしいです。恒例の1年の振り返りのコーナーです。今回振り返るのは……2023年です! ちなみに参加したイベントについては、それぞれブログに感想を書いているのでそちらをご覧ください。


【書いたお話】

「毎月300字小説企画」用短編
12本 合計3,600字
すべてX(Twitter)およびカクヨムにて公開

はじめはお題が発表された週末のうちに書けていたものの、最近は投稿当日に仕上げる体たらくになっています。にぎやかしにタイトルを並べてみましょう。カッコ内はお題です。

Eの仕事(初)/午前零時のヴンダーシュロス(甘い)/まばゆいみらい(おくる)/爛漫の旅を行け(靴)/一葉、南へ(待つ)/夏のまれびと(折る)/ブランブラム校の一日の始まり(朝)/シンシアリイ(鳥)/かんさつにっき(育つ/育てる)/星に願いを(つなぐ)/一粒(奪う)/グッドモーニング・メタモルフォーゼ(装う)

いま全ての本文にざっと目を通したんですが、なんかこう、もう少し清涼感のあるものを書けたいな…? 今年は皆勤賞を目標にしていました。来年も気負わず書いていきたいです。

・「みのまわり」無配用短編(お題:めがね)
西洋風ファンタジー/400字
文学フリマ東京36にて配布

・「みのまわり」無配用短編(お題:スマホ)
SF/400字
文学フリマ東京37にて配布

・「みのまわり」インスタ用短編(お題:ケーキ)
現代/400字 みのまわりインスタグラムにて公開

今年も「みのまわり」さんに色々と寄稿させていただきました。何人かで同じお題に沿って書くとか、短編に素敵な画像をつけてくださるとか、自分だけではできないことを毎回させていただいててありがたいです。

西洋風ファンタジー/約1,800字
創作企画「ペーパーウェル10」に参加(現在もBOOTHで配布中)

「扉」をテーマに書きました。ペーパーウェルは今回が初参加でした。書くのはもちろん、他の方の作品を拝見するのも楽しかったです!

善き精霊ボツェムギイ
西洋風ファンタジー/約1,600字
文学フリマ東京36用無配『ひづめだより vol.5』に掲載

勇者の肖像
西洋風ファンタジー/約1,500字
文学フリマ大阪11用無配『ひづめだより vol.6』に掲載

・つまびき
西洋風ファンタジー/約1,700字
紙本祭5用無配『ひづめだより vol.7』に掲載

今年の『ひづめだより』の無配、全部西洋風ファンタジーだった〜! ジャンルのバランスをとろうと思った記憶はあるんですがとれてませんでした。あ、今年はあちこちの色んなイベントに出店できたのも楽しかったです。


この他に、大正時代風オカルト譚『太承錦府オペラ・オクルタ』の5幕目を脱稿しました。推敲して年明けあたりには載せはじめたいです。これで『太オペ』は第1部完結となります。タイトルは「最期の一葉(さいごのいちよう」の予定です。◯・ヘンリーとは関係ありません。

あと1本、書いてる途中のやつがあります。これもまた大正時代風で『太オペ』と同じ世界観ですが、話としては独立しています。ちなみに公開時期は全くの未定ですし、公開に至れるのかもよく分かりません。


【来年の活動予定】

・上記の途中のを進める

・短いのも書く

・短編集を1冊つくる:既刊『春の夜のステラビナリア』と同じく再録集です。無事つくれると、弊サークル5冊目の本になります。

・なんか長めのも書きたくない?

イベント参加については申込済のものはありません。冬の文フリ東京あたりに出たいなあとぼんやり考えています。

今年は去年「こうしたいな〜これやりたいな〜」と書いてたことを実現できたと思うので、ちょっとした達成感があります。来年もいい感じにできますように。

2023年9月16日土曜日

文学フリマ大阪11感想

阪急三番街の位置に自信をもてない。藤枝です。
今回は9/10(日)に開催された文学フリマ大阪11の感想をちょびちょび書きます。
前回の感想を見返して、「書きたいことだけ書いてるから飛び飛びで読みづらいな…」と思ってます。)


●設営までのこと
今まで都内のイベントのみに参加してきた弊サークルですが、「そろそろ見てみるか…“外”ってやつを…」ということで、ちょうど出店募集中だった大阪に申し込みました。大阪は縁の深い土地なので出店できてとても嬉しいです。

せっかくなので前泊し、当日は京阪で天満橋駅に到着。「快速特急「洛楽」って乗っていいの?!?!?!」とか思いながら結局は準急に乗りました。準急ってなんとなく関西に多いイメージがあります。

たしか10時過ぎに会場のあるフロアに着いたんですが、オープン1時間前なのに一般入場の待機列ができてるし、サークルの入場列はフロア中をにょろにょろしてるしで、隣に並んでた方と驚き合ってました。曰く前回の大阪とは比べ物にならない人出だそうです。
列はスムーズに動いていたので、ブースまでは10分ちょっとで済んだと思います。

なんとなくもたもたしながら設営し、あとは見本誌を置きに行けば終わる…というところで、開場時刻の前倒しに伴い移動できなくなりました。が、開場直後のお買い物ついでに何食わぬ顔で置きました。(本当に何食わぬ顔をできていたのか?)
そういえば、机と机の間隔が体感数センチだったので、席側と通路側との行き来は島の端っこでやってました。こういうところも会場によって違うんですね。


今回のブースです。右半分がすごい密度ですね。途中からおしながきをもっと手前に置き、無配を机の真ん中あたりにずらしました。
前回からの変更点といえば、写真右下の細長いブタが増えました。もとい復帰しました。たまの遠征なのでにぎやかしということで。それと、見本に貼っている「SAMPLE」のマステを薄い色に変えました。すっきり見やすくなったと思います。


●頒布のこと
ありがたいことに、頒布数が弊サークル歴代2位の多さとなりました。初出店の地でこの結果が出たのも嬉しいです。Twitterで見て買いに来たという方がちらほらいらしたので、やっぱり広告は打っておくものですね。広告のやり方ももっと模索していきたいです。

今回も『キューのエレジー』が好調でした。最新刊ですと宣伝したわけではなく、むしろ初心者向けではないと書いたのに不思議です。FT中心サークルで売れる“自称SF”、それはお蕎麦屋さんのカレー的なアレかもしれない(ものすごい適当言った)。
『キュー』は雰囲気もジャンルも異色なので弱腰になって印刷部数を減らした結果、想定以上のハイペースで旅立っていき、発行から4ヶ月弱で残り何冊もなくなってしまいました。具体的にはあと2〜3冊ですすぐにとはいかないと思いますが、増刷を検討しているので続報をお待ちください。

会場内をうろうろしていると、「無料のよければどうぞ〜!」と渡してくださる方が東京よりも多かったように思います。大学のサークルの新歓を思い出しました。
会場の広さやブースの数は自分にはちょうどいい気がしました。少ないわけじゃないけど、そこまであわてずにひととおり回れるボリュームというか。

ということで、ブースに来てくださった方、運営スタッフ・ボランティアの皆さん、ありがとうございました!


●文フリ前後のこと

新幹線に乗り移動する点P(pig)

どうせ前日入りするならどこか見たくない? ということで、同行者の提案で中之島の大阪市中央公会堂に行きました。1918年に竣工した建物は今も貸し会議室やホールとして現役で、展示室を中心に一部公開もされています。
大奮発して公会堂の地下1階のレストランでお茶をしました。展示室で見た平面図では、レストランの部屋にあたる場所には「女子酒場」「男子酒場」と書かれていました。昔から飲食用のスペースだったんですね。壁には床から何割かの高さまで白いタイルが張られていて、酒場にしてはちょっと殺風景にも見えたのですが、当時からタイルだったとすればこういうスタイルが流行だったのかもしれませんね。床も板張りではなかったのでお掃除しやすそうです。

文フリ撤収後は駅のスーパーでお弁当を買ってホテルで食べました。チキン南蛮&オムライスでした。翌日新幹線で遅くない時間に帰り着いたのですが、それでも体力がごりごりに削れました。まだ回復しきっていない気がします。最大HPを2桁にしたいですね。


●今後のこと
次回の出店は11月17日(金)〜20日(月)、ピクリエにて開催のオンライン即売会「紙本祭5」です。何かしら新しいものを用意したいと思っています。できるといいなあ。ちなみにデフォルトのアバターにブタがいるので使用待ったなしです。
文フリは、出るとすれば次は来年秋の東京かなとぼんやり考えています。考えてるだけでなんの計画もない段階です。

それでは!