2023年12月29日金曜日

小官たちの2023と2024の話

 花豆のぽりぽりしたしょっぱいやつがおいしいです。恒例の1年の振り返りのコーナーです。今回振り返るのは……2023年です! ちなみに参加したイベントについては、それぞれブログに感想を書いているのでそちらをご覧ください。


【書いたお話】

「毎月300字小説企画」用短編
12本 合計3,600字
すべてX(Twitter)およびカクヨムにて公開

はじめはお題が発表された週末のうちに書けていたものの、最近は投稿当日に仕上げる体たらくになっています。にぎやかしにタイトルを並べてみましょう。カッコ内はお題です。

Eの仕事(初)/午前零時のヴンダーシュロス(甘い)/まばゆいみらい(おくる)/爛漫の旅を行け(靴)/一葉、南へ(待つ)/夏のまれびと(折る)/ブランブラム校の一日の始まり(朝)/シンシアリイ(鳥)/かんさつにっき(育つ/育てる)/星に願いを(つなぐ)/一粒(奪う)/グッドモーニング・メタモルフォーゼ(装う)

いま全ての本文にざっと目を通したんですが、なんかこう、もう少し清涼感のあるものを書けたいな…? 今年は皆勤賞を目標にしていました。来年も気負わず書いていきたいです。

・「みのまわり」無配用短編(お題:めがね)
西洋風ファンタジー/400字
文学フリマ東京36にて配布

・「みのまわり」無配用短編(お題:スマホ)
SF/400字
文学フリマ東京37にて配布

・「みのまわり」インスタ用短編(お題:ケーキ)
現代/400字 みのまわりインスタグラムにて公開

今年も「みのまわり」さんに色々と寄稿させていただきました。何人かで同じお題に沿って書くとか、短編に素敵な画像をつけてくださるとか、自分だけではできないことを毎回させていただいててありがたいです。

西洋風ファンタジー/約1,800字
創作企画「ペーパーウェル10」に参加(現在もBOOTHで配布中)

「扉」をテーマに書きました。ペーパーウェルは今回が初参加でした。書くのはもちろん、他の方の作品を拝見するのも楽しかったです!

善き精霊ボツェムギイ
西洋風ファンタジー/約1,600字
文学フリマ東京36用無配『ひづめだより vol.5』に掲載

勇者の肖像
西洋風ファンタジー/約1,500字
文学フリマ大阪11用無配『ひづめだより vol.6』に掲載

・つまびき
西洋風ファンタジー/約1,700字
紙本祭5用無配『ひづめだより vol.7』に掲載

今年の『ひづめだより』の無配、全部西洋風ファンタジーだった〜! ジャンルのバランスをとろうと思った記憶はあるんですがとれてませんでした。あ、今年はあちこちの色んなイベントに出店できたのも楽しかったです。


この他に、大正時代風オカルト譚『太承錦府オペラ・オクルタ』の5幕目を脱稿しました。推敲して年明けあたりには載せはじめたいです。これで『太オペ』は第1部完結となります。タイトルは「最期の一葉(さいごのいちよう」の予定です。◯・ヘンリーとは関係ありません。

あと1本、書いてる途中のやつがあります。これもまた大正時代風で『太オペ』と同じ世界観ですが、話としては独立しています。ちなみに公開時期は全くの未定ですし、公開に至れるのかもよく分かりません。


【来年の活動予定】

・上記の途中のを進める

・短いのも書く

・短編集を1冊つくる:既刊『春の夜のステラビナリア』と同じく再録集です。無事つくれると、弊サークル5冊目の本になります。

・なんか長めのも書きたくない?

イベント参加については申込済のものはありません。冬の文フリ東京あたりに出たいなあとぼんやり考えています。

今年は去年「こうしたいな〜これやりたいな〜」と書いてたことを実現できたと思うので、ちょっとした達成感があります。来年もいい感じにできますように。

2023年9月16日土曜日

文学フリマ大阪11感想

阪急三番街の位置に自信をもてない。藤枝です。
今回は9/10(日)に開催された文学フリマ大阪11の感想をちょびちょび書きます。
前回の感想を見返して、「書きたいことだけ書いてるから飛び飛びで読みづらいな…」と思ってます。)


●設営までのこと
今まで都内のイベントのみに参加してきた弊サークルですが、「そろそろ見てみるか…“外”ってやつを…」ということで、ちょうど出店募集中だった大阪に申し込みました。大阪は縁の深い土地なので出店できてとても嬉しいです。

せっかくなので前泊し、当日は京阪で天満橋駅に到着。「快速特急「洛楽」って乗っていいの?!?!?!」とか思いながら結局は準急に乗りました。準急ってなんとなく関西に多いイメージがあります。

たしか10時過ぎに会場のあるフロアに着いたんですが、オープン1時間前なのに一般入場の待機列ができてるし、サークルの入場列はフロア中をにょろにょろしてるしで、隣に並んでた方と驚き合ってました。曰く前回の大阪とは比べ物にならない人出だそうです。
列はスムーズに動いていたので、ブースまでは10分ちょっとで済んだと思います。

なんとなくもたもたしながら設営し、あとは見本誌を置きに行けば終わる…というところで、開場時刻の前倒しに伴い移動できなくなりました。が、開場直後のお買い物ついでに何食わぬ顔で置きました。(本当に何食わぬ顔をできていたのか?)
そういえば、机と机の間隔が体感数センチだったので、席側と通路側との行き来は島の端っこでやってました。こういうところも会場によって違うんですね。


今回のブースです。右半分がすごい密度ですね。途中からおしながきをもっと手前に置き、無配を机の真ん中あたりにずらしました。
前回からの変更点といえば、写真右下の細長いブタが増えました。もとい復帰しました。たまの遠征なのでにぎやかしということで。それと、見本に貼っている「SAMPLE」のマステを薄い色に変えました。すっきり見やすくなったと思います。


●頒布のこと
ありがたいことに、頒布数が弊サークル歴代2位の多さとなりました。初出店の地でこの結果が出たのも嬉しいです。Twitterで見て買いに来たという方がちらほらいらしたので、やっぱり広告は打っておくものですね。広告のやり方ももっと模索していきたいです。

今回も『キューのエレジー』が好調でした。最新刊ですと宣伝したわけではなく、むしろ初心者向けではないと書いたのに不思議です。FT中心サークルで売れる“自称SF”、それはお蕎麦屋さんのカレー的なアレかもしれない(ものすごい適当言った)。
『キュー』は雰囲気もジャンルも異色なので弱腰になって印刷部数を減らした結果、想定以上のハイペースで旅立っていき、発行から4ヶ月弱で残り何冊もなくなってしまいました。具体的にはあと2〜3冊ですすぐにとはいかないと思いますが、増刷を検討しているので続報をお待ちください。

会場内をうろうろしていると、「無料のよければどうぞ〜!」と渡してくださる方が東京よりも多かったように思います。大学のサークルの新歓を思い出しました。
会場の広さやブースの数は自分にはちょうどいい気がしました。少ないわけじゃないけど、そこまであわてずにひととおり回れるボリュームというか。

ということで、ブースに来てくださった方、運営スタッフ・ボランティアの皆さん、ありがとうございました!


●文フリ前後のこと

新幹線に乗り移動する点P(pig)

どうせ前日入りするならどこか見たくない? ということで、同行者の提案で中之島の大阪市中央公会堂に行きました。1918年に竣工した建物は今も貸し会議室やホールとして現役で、展示室を中心に一部公開もされています。
大奮発して公会堂の地下1階のレストランでお茶をしました。展示室で見た平面図では、レストランの部屋にあたる場所には「女子酒場」「男子酒場」と書かれていました。昔から飲食用のスペースだったんですね。壁には床から何割かの高さまで白いタイルが張られていて、酒場にしてはちょっと殺風景にも見えたのですが、当時からタイルだったとすればこういうスタイルが流行だったのかもしれませんね。床も板張りではなかったのでお掃除しやすそうです。

文フリ撤収後は駅のスーパーでお弁当を買ってホテルで食べました。チキン南蛮&オムライスでした。翌日新幹線で遅くない時間に帰り着いたのですが、それでも体力がごりごりに削れました。まだ回復しきっていない気がします。最大HPを2桁にしたいですね。


●今後のこと
次回の出店は11月17日(金)〜20日(月)、ピクリエにて開催のオンライン即売会「紙本祭5」です。何かしら新しいものを用意したいと思っています。できるといいなあ。ちなみにデフォルトのアバターにブタがいるので使用待ったなしです。
文フリは、出るとすれば次は来年秋の東京かなとぼんやり考えています。考えてるだけでなんの計画もない段階です。

それでは!

2023年8月26日土曜日

文学フリマ大阪11お知らせ

 暑いですね。藤枝です。暑いですね。

 今回は文学フリマ大阪11に出店するぞというお話なのですが、訂正とお詫びから入らせていただきます。

 先日の文フリ東京36で配布した『ひづめだより vol.5』、および同イベントの感想記事に「次のイベント参加は11月の『紙本祭5』でーす」と書いたんですが、書いた後に文フリ大阪参加申込→参加が決定したのでまったくの嘘になりました。すみません! 『ひづめだより』だけ見てくださってる方がいたらもう申し訳なさの極みです。
 ※「紙本祭5」について(8月19日現在)
 オンライン即売会「紙本祭5」は、プラットフォームを「PictSQUARE」から「ピクリエ」に、日付を11/3〜4から11/17〜20に変更して開催となりました。弊サークルはピクリエ版のサークル参加申込はまだしていないので、きちんと決まりしだい改めてお知らせします。

 ということで……

 弊サークルこと夕暮れガーネットは、9/10(日)開催の文学フリマ大阪11@OMMビルに出店します! ブースは【F-11】、つまりファンタジーわんわん。

 東京以外のイベントに出るのは初めてです。本やブタを連れて新幹線に乗る。すなわち本もブタも200km/h以上で移動する。エクストリーム点P(pig)ですね。

 おしながきはこちら。ブース番号を目立たせてみたほかは、前回の文フリ東京36とほぼ同じです。頒布内容も無配以外は変更なしです。


 以下、個々の頒布物の紹介です。webカタログもチェックチェックです。

①『キューのエレジー』


文庫判 136ページ 500円
自称SF(舞台は現代)
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

どんより度 ★★★★★
初心者向け度 

〈あらすじ〉
 恒樹はある日、異星人の旅行者をホストとして迎えることになる。九洞と名乗るその“ひと”は三年前に消えた後輩と同じ姿だった。暗く垂れ込める夏の物語。

「わたしは天の川銀河ではない、他銀河にある星から来ました」

 タギンガ、と恒樹は口に出した。

「小さくて、これといった特徴もないところです。それでも様々な規模で意見がぶつかります。一つの銀河に何千億もの恒星があり、その何割かに生命が暮らし、いくつもの共同体や宗教があると思えば、多少の意見の違いには鈍感になってきます――よくも悪くもですが。わたしの星でも、星を開くと決まった時はかなり混乱がありましたが、今はなんとかやっています。なので地球もきっと大丈夫だと思います」

「そうだといいですね。本当に」


 頒布物(無配除く)の中では最新作で、昨年7〜9月に書いたお話です。弊サークルとしては異色の非ファンタジーで、かつ弊サークル史上最暗です。暗黒とか闇とかではなく、ぼんやりどんよりズーンみたいな感じです。こういうテイストのため、「夕暮れガーネット初心者だけどどれから読めばいい?」という方には別の本をおすすめいたします。たとえば次にあげるやつとか……



②『歪樹のスフェン』


文庫判 110ページ 500円
魔法をめぐる優しめファンタジー
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

読後感のよさ ★★★★☆
魔法成分の多さ ★★★★★

〈あらすじ〉

 スフェンの魔力はある出来事を境に歪んでしまった。失意に倒れた彼は旅の魔法使いエリアのもとに身を寄せる。二人が過ごした秋の温かな物語。


 細かく書きつけた紙片をスフェンに渡しかけ、エリアが小さく声をこぼした。紙片に息を一つ吹きかけ、「失礼」と言って改めてよこしてくる。スフェンが受け取ると術が動きだした。どこまでが一文字かも分からぬ羅列が黒い丸に変じた後、細い糸にほどけて見慣れた文字をつくる。書きつけは〈のぞき〉に必要な品の一覧で、スフェンが授業で使ったことのあるものもあれば、植物か動物かさえ分からないものもあった。 

 『キューのエレジー』が曇りなら、こっちは雨のち晴れの光属性です。怖いとかグロいとかもほぼない(怪我はする)ので比較的安心して読めます。優等生タイプです。



③『スピラーレ』


文庫判 70ページ 300円
滅び・風・旅の連作ファンタジー

静けさ ★★★★☆
魔法成分の多さ ★★☆

 穏やかで澄んだ掌編5つを収録しています。違う時代の違う場所の人々が西洋風の世界をうろうろします。テーマの「滅び」がちょっと不穏ですね。『歪樹のスフェン』よりはどことなく影があります。

〈収録作品〉
青文字のタイトルはカクヨムにて全編試し読みできます。

 山間の町にやって来たヨアン。深い緑の瞳をもつリッケと出会うが……

 疫病に村を襲われ家族を失ったルーカは、“魔法使い”と呼ばれる隠者の噂を聞いた。

「晩夏の手向け」
 剣士のゾントと楽師のビノエ、兄弟が出会った過去と幻。

「星影の標」
 古に紡がれた聖なる言葉を探し、ミシュカは小さな旅に出る。

「春へゆく風」
 薬を売って旅をするメアリアと先生はサンゲルジュという町に着く。



④『春の夜のステラビナリア』


文庫判 86ページ 300円
ジャンル混ぜこぜ短編集

 寄稿させていただいたり投稿サイトや無配に載せたりしたものを集めました。ジャンル混ぜこぜと言いながらファンタジーが多めです。
 そして発行から4年が過ぎた今になって気づいたんですが、「よかった〜!」みたいな気持ちになれるハッピーなお話がほぼありません。ダークとも言い切れないものの、なんかこうテンションが穏やかです。そういうのを選んで収録したわけではないのですが、なんで? そういうのばっかり書いてるから? そうか。

〈収録作品〉
青文字のタイトルはカクヨムにて全編試し読みできます。

「ステラと終章」
 現代/冬、先輩と私の届かない物語

「ブラチスラヴァで三時間」
 旅行記
スロヴァキアに行った時の話

「デュアル・ブルー」
 SF百合
戦うヒーローとカフェ店主の話

「遠き歌声」
 ファンタジー
風と喪失

「魔法使いの話」
 ファンタジー
“青百合がいたらそっと逃げるんだよ”

「カシー・ルルーとの燦たる午後」
 ファンタジー
きみは鏡の中で宝石を嚥下する

「ウヴァークの竜の話」
 ファンタジー
竜・靴・怒り

「ロスト」
 現代美術館・鍵・息苦しさ



⑤無料配布『ひづめだより vol.6』

A5 4ページ 無料!

 見開き短編とサークル情報の載ったペーパーです。今回も家のプリンタでコピー用紙に印刷します。短編は今書いてます。「本は買わないけど気になるぞ」という方も遠慮なくお持ち帰りください。



 宿も新幹線もばっちり予約したので、あとは諸々の災厄が起きないのを祈るばかりです。X(twitter)くるっぷで随時お知らせしていく予定です。待ってろ大阪! 逃げるな大阪!

2023年8月17日木曜日

Word苦闘録 余白が設定値と実際とで違う編

こんにちは。藤枝です。文フリ大阪11が迫ってきましたね。

今回は趣向を変えて、今年5月発行の『キューのエレジー』制作の際に、Wordで課題にぶち当たり解決するまでの記録を書きました。解決策はどう考えても力技ですし、オンリーでもベストでもないと思うので、参考になさる場合は自己責任でお願いします。Wordに詳しい方からすれば「こいつ柴犬とマンチカンの見分けがついてないぞ」みたいな話かもしれませんし、備忘なのに後から読み返して理解できる気がしていません。一体誰向けなのか。


●問題発覚〜原因判明

今回ぶつかった問題は「設定値と出力(拡大縮小なし)とで余白が違う」です。

発覚時点での設定は以下のとおり。

 上17mm/下15mm/内側(小口)13mm/外側(のど)18mm

 複数ページ:見開きページ

※ふつうは内側がのどで外側が小口ですが、Wordの設定上ではひっくり返ってるものらしく、内側が小口側、外側がのど側です。

冊子の校正が大詰めを迎えた頃、「今回はページ数が増えたからのど側の余白を前より広くしたんだよね〜」と思いながら、実際に出力して余白を測ってみました。さらに、実は前回つくった冊子を見ている時に「なんか奇数ページと偶数ページとでのど側の余白が違うような…?」と思ってはいたんです。その時点で手を打て。

測定結果は…

 奇数ページ:上17mm/下15mm/内側(小口)18mm外側(のど)18mm

 →内側が設定より5mm広い

 偶数ページ:上17mm/下15mm/内側(小口)13mm/外側(のど)23mm

 →外側が設定より5mm広い

?????

紙をためつすがめつするプ●さん状態です。小口側まで違いました。なぜ設定値と違うのか。なぜ奇数ページと偶数ページでバラバラなのか。どこから来たんだこの5mmは。もっと言うと最初は「どうして奇数ページの内側と外側の余白が同じなんだ」みたいな引っかかり方をしてましたが、それは偶然の一致だったようです。

まずはひたすらネットに頼りました。「Word 余白 おかしい」「Word 余白 ずれ 原因」…しかしドンピシャの答えはなく、ネットの海でぷかぷか浮きながら途方に暮れます。ちなみに自分はカナヅチなので浮かんでいられる自信がありません。

そしてWordの画面をながめている時に気づきました。なんか最後の行と余白の間にさらに隙間がある。



画像は奇数ページですが、偶数ページも同じでした。トンボ(四隅に散った怒りマークみたいなやつ)が余白と版面を示してるんですが、最初の行は余白にぴったりくっついてる一方、最後の行「エントランスは〜」と余白の間にはなぜか隙間がありますよね。なぜか。再びのシンキングタイム(sinkではなくthinkです)の後に思い当たるものがありました。もしかして行間を詰めたから? 試しに行間を広げると、まあ当たり前ながら最後の行と余白との距離は縮まりました。これが原因だ! ここをなんとかすればなんとかなる。


●Wordゴリラ

ところが、行間を広げると間延びしてかっこよろしくない気がします。ページ数も増えるしページの変わり目もずれて、芋づる式に調整ポイントが発生します。校正が大詰めの段階で大々的に何かを変更するのはあまりにリスキーです。

変更するにしたって、単純に内側/外側を何mm調整すればOKという話ではありません。奇数ページに合わせれば偶数ページがずれます。奇数と偶数で別々に設定する方法があるかもしれませんが、Wordの画面をぱっと見た限りはなさそうだし、VBA的な複雑怪奇なやつに行き着く気がします。

唸っているところに力技大好きゴリラがやって来ました。校了になったデータを奇数用と偶数用で2個用意→それぞれ余白を調整→PDF化→偶数用から奇数ページを削除(とその逆)→順番どおりに縫合すればいいのでは? 脳内でピ●太郎の「PP●P」が流れだしました。複雑かつ未知のリスクよりもシンプルなリスク。これでいきます。

調整と出力を何度か繰り返し、次の設定に落ち着きました。

 奇数ページ:上17mm/下15mm/左11mm/右18mm

 偶数ページ:上17mm/下15mm/左16mm/右13mm

 複数ページ:標準

これで出力して測ってみたところ、晴れて目標の小口13mmのど18mmになったのです。やったね。ちなみに複数ページを「見開きページ」から「標準」に変更したため、余白の位置の呼び方が内側外側から左右に変わっています。

この作戦で起きうるミスは、縫合時にページ順を間違えることと、奇数用と偶数用とでページの変わり目がずれることでした。前者は便利なツールがあるかもしれませんが、今回は手作業だったので、ひたすら目視で確認しました。後者も何度も目で見てチェックしました。奇数ページと偶数ページとで内側外側の余白の合計が同じなら、ページの変わり目も同じはずですよね。イメージとしては版面が左右にぶれる感じだと思います。急に自信がなくなってきた。ほかに、気づかないまま不発に終わった危険もあったかもしれませんね。運が良かったです。

ページがノンブルどおりに並んでいるか、ページの変わり目できちんと文章がつながっているか、何度も確認してから作業を終えました。白状すると確認中に文章の修正もしたのでPDFを作成しなおしました。

そして印刷所さんから届いた冊子を確認したところ、泥臭いやり方とはいえやってよかったと思える仕上がりでした。とてもいい。前回の冊子より格段にいい。やってよかった。


いかがでしたか?

やっぱりどう見ても力技だし、ページ数(←のどの余白の広さに直結する)や行数行間等々が変わると設定値を見直す必要があるし、ページ数が増えると絶対にしんどくなるやり方です。しかし今回のところはAll's Well That Ends Well ウホね。ゴリラにも失礼です。

次回はもっとクレバーにやりたいです。実を言うとInDesignもとっても興味があるんですが、懐があれでどうなので、またWordのお世話になるんだろうなと思ってます。もInDesign、一度はさわってみたい。一度はあれで本をつくってみたい。

こんなやり方で乗り切ったこともあったなあとか、何言ってんだこいつとか、なんかこう笑える日が来ますように。

2023年5月28日日曜日

文フリ東京36感想

 今年も今年とて花粉症の薬をいつやめるか探っています。藤枝です。
 今回は5/21(日)に開催された文学フリマ東京36の感想です。

 会場に着くまでの流れで前回と違ったこととして、駅の売店でお昼ご飯を買いました。ふかふかホットドッグみたいなやつです。家から持って行ったカ●リーメイトも食べました。腹が減っては頒布はできぬ。



●ブースのこと
 こんな感じでした。左手前のスカスカスペースが趣深いです。


 ブースに関して、前回を踏まえて変更した点が3つあります。

①大きいイーゼルに設置したボード
 前回はイーゼルに本を直置きした結果、とりづらい戻しづらいという有様で、なんとかすることリストの筆頭にあがっていました。ボードのおかげでめちゃくちゃ安定感が出ました。というか前回がなさすぎました。すみませんでした。

②無配を樽に立てるスタイル
 これまで無配は透明なスタンドに立てていたのですが、無配が薄すぎてとりづらいという致命的な難点がありました。今回は頒布物が増えてスタンドを本にあてることになり、無配の置き場に困っていたところ、立ててすぽすぽ引っこ抜く形式を思いついたのでした。ちょっとよくなった気がしています。欲を言えばもう少し直径があるとベターかもしれません。

③折りたたみラックのクロス
 ブタ柄になりました!!!(お祭り)
 増える頒布物に追いやられるように数を減らしていたブースのブタが、ここに来て一挙に数を増やしました。やったね。ちなみにクロスで隠れている部分には搬入した本を置いています。

 あと設営してから気になったんですが、見本誌のカバーに貼ってるマスキングテープの色がなかなか濃いので、書いてある「SAMPLE」の文字が読みづらいですね。
 もう一つ気になったんですが、「新刊」の表示がやる気なさすぎて面白いですね。次はブタ型のPOPでもつくろうと思ってます。



●頒布や本のこと
 結果から申しますと、弊サークル史上最多の頒布数となりました。ありがとうございました!

 正直なところ、今回の新刊『キューのエレジー』は暗いしファンタジーではないしで、読者層が今までとは違うと思っていました。なので、持ち込み分僅少ツイートをすることになるとは予想もしていませんでした。今までしたことがなかったのでびっくりです。今回はなぜか学生時代の知り合いがかつてなく多く来場していて、「新刊買うよ!」みたいに手に取ってくれたのも大きいです。そして嬉しいです。

 ということで今回の夕暮れダービーの結果は、『キューのエレジー』がぶっちぎりのトップ、次いで『春の夜のステラビナリア』と『歪樹のスフェン』が同着、そして最後が『スピラーレ』となりました。前回は新刊『スフェン』と同数旅立った『スピラーレ』が今回はまったりペース、逆に前回に鑑みて搬入数を絞った『春スビ』が好調でした。どの本がどれだけ売れるか数が読めないなあとも思ったのですが、もしかしたら新刊のジャンルに左右されるのかもしれないですね。



●今後のこと
 秋の文フリ東京については一般参加の予定です。来年あたり東京以外にも出店してみたいなあとか、開催時期を見るにあそこなら行けるかなあとか、考えるだけ考えたりもしています。考えることがタダってすごくないですか?(?)

 次回の出店は、11/3〜4にpictSQUAREにて開催のオンライン即売会「紙本祭5」です。無配にも書いたとおり、1年に複数回出店するのはかなり珍しい(2度目)です。そのうえ初のオンラインイベントなのでわくわくどきどきしています。

 新刊『キューのエレジー』と既刊全種はBOOTHで販売中です。次のイベントまで待てないという方はチェックしてみてください。

 最後に、ブースに来てくださった方々、運営スタッフ・ボランティアの方々、ありがとうございました。それでは!

2023年5月3日水曜日

文フリ東京36お知らせ

 このブログの1年はイベントの告知から始まります。
 あけましておめでとうございます。藤枝です。

 弊サークル「夕暮れガーネット」は5/21(日) 東京流通センターにて開催の文学フリマ東京36に出店いたします。

 ブース番号は【J-29】です。流通センター駅から見て左側、第一展示場だそうですよ。

 出店は昨年5月の第三十四回文フリ東京以来となります。年に1度は何かしらに出られるといいなあと思いつつ、体力が低下しているので、体力をつけるための体力をつけるための(略)をつける必要を痛感する日々です。

 さて、まずはおしながき。
 

 今回も新刊が出ます! すでに納品済みなので搬入を忘れなければばっちりです。

 以下、個々の頒布品を紹介します。webカタログにも載っているのでご覧ください。



①新刊『キューのエレジー』


文庫判 136ページ 500円
自称SF(舞台は現代です)
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

〈あらすじ〉
恒樹はある日、異星人の旅行者をホストとして迎えることになる。九洞と名乗るその“ひと”は三年前に消えた後輩と同じ姿だった。暗く垂れ込める夏の物語。

手洗いうがいの後に見てみれば、九洞は博物館の展示室に入った時のように、足をゆっくりと動かして八畳間を観察していた。背の低い横長の棚、くしゃくしゃのタオルケットを載せた窓際のベッド、開きっぱなしの押し入れ、あらゆるものに熱心な眼差しが注がれた。後ろに回した手に持つ地球滞在マニュアルが、魚の尾びれのように揺れている。恒樹はグラス二つに麦茶を注いで机に運んだ。それから押し入れの座布団を引っぱり出した拍子に、金魚もいつか宇宙に行ったことを思い出した。

 昨年7月の投稿企画「文披31題」に参加させていただいたお話です。弊サークルではこれまでファンタジー・ファンタジー含む短編集・ファンタジーと発行してきましたが、今回は魔法も竜も登場しません。スマホやモップやバーベキューが存在するゴリゴリの現代が舞台です。

 異色なのはお話のテイスト然りでして、あらすじにもあるとおり暗いです。弊サークル史上最暗です。暗黒とか闇とかではなく、ぼんやりどんよりズーンみたいな感じです。

 印刷はおたクラブさんに依頼しました。去年しおりでお世話になった印刷所さんです。9営業日コースで申し込んだら入稿の4日後に納品されてめちゃくちゃびっくりしました。

 表紙のデザインや紙のチョイスではかつてなく色々考えました。色々すぎるので箇条書きにしてみます。

 ・きらきらした紙を使いつつ、ベタで印刷してきらきらを抑えて紫外線を孕んだ夏の雲っぽくしたい
 ・遊び紙にトレーシングペーパーを使ってさらにどんより感アップ
 ・フォントは非明朝体が似合うはず(結果マメロンにしました。淡白でかわいい)
 
 少なかった。表紙にパールスノープラチナ205kg、遊び紙にクラシコトレーシングFS、本文には書籍用紙70kgを選びました。思惑どおりの感じに仕上がって満足しています。おたクラブさん、ありがとうございました!!!

 あと、今回は余白の調整にも力を入れました。……が、長い上に告知と関係ないので別の記事として載せることにします。ちなみにルビのふり方は岩波文庫を参考にしてみました。



②既刊『歪樹のスフェン』


文庫判 110ページ 500円
魔法をめぐる優しめファンタジー
全文試し読みはこちらから(カクヨムの作品ページに移動します)

 細かく書きつけた紙片をスフェンに渡しかけ、エリアが小さく声をこぼした。紙片に息を一つ吹きかけ、「失礼」と言って改めてよこしてくる。スフェンが受け取ると術が動きだした。どこまでが一文字かも分からぬ羅列が黒い丸に変じた後、細い糸にほどけて見慣れた文字をつくる。書きつけは〈のぞき〉に必要な品の一覧で、スフェンが授業で使ったことのあるものもあれば、植物か動物かさえ分からないものもあった。 

 魔法が歪んでしまった少年と“潤うものに愛される”魔法使いの、穏やかで温かなお話です。『キュー』がどんより曇りっぱなしなら、こっちは雨のち晴れの光属性です。



③既刊『スピラーレ』



文庫判 70ページ 300円
滅び・風・旅の連作ファンタジー

 静かで澄んだ掌編5つを収録しています。違う時代の違う場所の人々が西洋風の世界をうろうろします。テーマの「滅び」がちょっと不穏ですね。

〈収録作品〉
 山間の町にやって来たヨアン。深い緑の瞳をもつリッケと出会うが……

 疫病に村を襲われ家族を失ったルーカは、“魔法使い”と呼ばれる隠者の噂を聞いた。

「晩夏の手向け」
 剣士のゾントと楽師のビノエ、兄弟が出会った過去と幻。

「星影の標」
 古に紡がれた聖なる言葉を探し、ミシュカは小さな旅に出る。

「春へゆく風」
 薬を売って旅をするメアリアと先生はサンゲルジュという町に着く。



④既刊『春の夜のステラビナリア』



文庫判 86ページ 300円
ジャンル混ぜこぜ短編集

 寄稿させていただいたり投稿サイトや無配に載せたりした8編を集めました。ジャンル混ぜこぜと言いながらファンタジーが多めです。

〈収録作品〉
 現代。冬、先輩と私の届かない物語

「ブラチスラヴァで三時間」
 旅行記。スロヴァキアに行った時の話

 SF百合。戦うヒーローとカフェ店主の話

「遠き歌声」
 ファンタジー。風と喪失

 ファンタジー。“青百合がいたらそっと逃げるんだよ”

「カシー・ルルーとの燦たる午後」
 ファンタジー。きみは鏡の中で宝石を嚥下する

 ファンタジー。竜・靴・怒り

「ロスト」
 現代。美術館・鍵・息苦しさ



⑤無料配布『ひづめだより vol.5』

A5 4ページ 無料!

 見開き短編とサークル情報の載ったペーパーです。家のプリンタでコピー用紙に印刷した親しみやすいやつです。短編は今から書きます。「本は買わないけど気になるぞ」という方も遠慮なくお持ち帰りください。



 そして今回は、拙作が夕暮れガーネット以外のブースにお邪魔しています。

 みのまわりさん(第二展示場Fホール【う-60】)

 『みのまわり vol.4 燈』…ヴィクトリア朝風短編「燐の夜」

 『みのまわり vol.5 鏡』…大正時代風短編「破鏡譚」、1ページ小説2編

 以上4編を寄稿させていただきました!

 さらに、「めがね」をモチーフにした無料のペーパーにも短編で参加しております。今回が初頒布の品ですよ。

 みのまわりさんは装丁も作品もブースもとってもおしゃれなので、ぜひお立ち寄りください!



 ということで、5/21 文学フリマ東京36でお会いできるのを楽しみにしております! twitterでも告知をしていくのでよろしくお願いいたします〜。

2022年12月17日土曜日

アテクシたちの2022と2023の話

 そうか、ブログに書くような長文をあまり思いつかないから自然ブログを更新しないんだな、と今さら気づきました。ということで2022年を振り返ってみます。

【書いたお話】

「夢幻の松籟」
大正時代風オカルト譚『太承錦府オペラ・オクルタ』(以下、『太オペ』)第3幕/約12,300字

大正時代風ふしぎ小話/約1,400字

『太オペ』第4幕/約15,800字

「キューのエレジー」(以下、「キュー」)
どんより自称SF/約39,700字

・「廃伽藍の窮鼠」(仮題。以下、「窮鼠」)
魔法多め短編/書きかけ。文フリ東京36で頒布?

 西洋風のファンタジーがほぼない〜〜〜!(ずごげーん)
 おととしは「ぜ、全部ファンタジーだ〜!(ずげーん)」(去年のふりかえり記事からの孫引き)だったというのに驚きです。というか大正時代風を書き過ぎました。書きたかったので仕方ないですね。

 「キュー」では企画「文披(ふみひらき)31題」に参加させていただきました。が、企画で書くにしては暗い仕上がりになりました。気づいたらそういう展開になってた……どうして……。去年あたりからこういう「いつの間にか(巧拙優劣ではなく後味というか雰囲気が)悪い方向に転がってる!」みたいな事態が起きてるのでなんとかしたいです。悪くする時は悪くするという意志をもってきちんとやりたいです。

 そしてご無沙汰だったツケが回ってきたのか、猛烈に西洋風ファンタジーを書きたくなって「窮鼠」に着手しました。主人公は過去作に登場したある魔法使いです。

 あとですね、文芸誌『みのまわり vol.5 鏡』に合計3本を寄稿させていただきました。編集部の皆さん、今回もお世話になりました! お話の内訳は大正時代風短編「破鏡譚」と、姿見と古着屋をそれぞれモチーフにした掌編です。冊子は11/20(日)の文学フリマ東京35で頒布されたほか、次回以降の「みのまわり」さんの出店でも在庫のある限りお求めいただけると思います。



 でもって来年の活動予定は……

 5/21(日) 文学フリマ東京36 に出店します!!!

 新刊の候補は「キュー」と「窮鼠」(か他の西洋風ファンタジーのクラフト紙中綴じ冊子)です。後者は今の時点ですでにモノ的に具体性がありすぎて面白いですね。どっちとも決められずに「キュー」の推敲と「窮鼠」の執筆を並行して進めています。卯年に向けてばっちり二兎を追っています。もしかしたら理性を失ってダブル新刊をきめてしまうかもしれません。

 イベント参加の予定は現時点で文フリ東京36のみですが、いつかオンラインイベントにも出たいなーと思っています。通販もやってはいるものの、頒布の機会をじわじわ増やしたいところです。

 あと言うのはタダなので言うと、東京以外の文フリにも出たいです。そしてさらに言うと……合同誌?(呼び方が合ってるか不明)にもっと寄稿してみたいなあ……。アンテナの張り方がめちゃくちゃ下手で、「いよいよ明日開催/頒布です!」みたいな告知で存在を知るパターンが多いです。Twitter上の投稿企画もチェックしていきたいです。

 カクヨムへの投稿は、『太オペ』をあと1本書いて第1部を完結、他に10,000字ぐらいのを1本は載せる予定です。『太オペ』は投稿済みの4幕分だけで5万字以上あるので、本にした時のボリュームに今から恐れおののいています。書かぬ話の本算用。のど何ミリ?



 ……という感じで、今までの「書く・参加する」をもっと掘り下げるというか多面体にしていくというか、そういう動きをできたらいいなあと思っています。それでは!